ハードSF作家イーガンの短篇集が奇想コレクションに収録されるとは意外。確かに長編『宇宙消失』で星空が消えた理由や短篇「ルミナス」などはバカSFとさえ言えるほどの奇想だが、これらはあくまでハードSFとしての奇想。これまで奇想コレクションに収録されている作品の奇想とは種類が違うように思う。
ところが実際にこの短篇集を読んでみると、ホラー系の作品など、いかにも奇想コレクションらしい作品が数多く並んでいた。イーガンにもこういう作品があるとは意外。
ただ、やっぱりイーガンはハードSFが読みたい。この本に収録されている作品群も面白くはあるけれど、イーガン作品に期待するものとは違っていた。例外は、胎児に遺伝子操作を施すことで超優秀な子供を産もうとする企ての意外な結果を描いた「ユージーン」と、脳に作用してあらゆるものを言語で表現することを可能にするインプラント"TAP"の使用者の死の謎を私立探偵が探る表題作。これらは私の期待するイーガンらしい作品で、大いに楽しめた。

